焼杉を外壁材に用いるのは日本の伝統的工法です。あらかじめ杉の表面を焦がし炭化することで耐火性や耐久性を高めることができます。その独特の色、風合いはデザイン面でも重宝され、建材メーカーから外壁材として販売されています。しかしその多くは薬品を使って色を付けたもので、手間のかかる実際に焼いた焼杉を用いる例は年々少なくなってきているそうです。今回ご紹介するのは、そんな貴重な手焼きの焼杉を用いた美しい外壁が印象的な平屋建ての住まい。長谷川拓也建築デザインによって手掛けられました。
広々とした敷地にゆったりと配置された木造平屋建ての住宅です。南側には大きな開口が設けられ、手前に広がる庭へと開かれています。内部と外部を緩やかにつなぐ領域としてウッドデッキの敷かれたテラスが配され、空間につながりと広がりをもたらしています。外壁には手作業で焼かれた焼杉が用いられ、モダンながらもどこか素朴で落ち着いた雰囲気の佇まいです。
L字型の平面が採用され、こちらは玄関のあるボリューム部分。道路側のファサードには開口を設けず、プライバシー確保が成されています。L字型のプランを採用することによって、半中庭ともいえるプライバシー度の高い庭を設けることができ、デッキテラスでの時間もより快適に過ごすことができます。
焼杉の外壁の素材感が良く伝わる一枚です。焼杉外壁は、その耐火、耐久性もさることながら、炭化部分が厚いため年月を経ても色合いが落ちづらく、またその風化の具合も自然で美しいのが特徴です。
玄関の様子です。内部にも自然素材がふんだんに用いられ、素材感豊かで伸びやかな住空間が広がります。さりげなく配されたペンダントライトもおしゃれですね。
ロフトに面した吹き抜けと、庭に面した大きな開口のある、開放的で明るいLDKスペース。テラスを通して反対側の和室まで見通すことができ、広がりを感じられる空間となっています。
こちらの住まいのもう一つの特徴がそのこだわりの家具コレクションです。イームズ、イサム・ノグチ、ジャンプルーヴェなど往年の巨匠たちが手がけたミッドセンチュリーの家具がならぶギャラリーさながらの室内空間。特徴ある名作家具が違和感なくなじむ、ナチュラルで明るい空間です。
キッチンはアイランド型のオープンなもの。こちらも自然素材を用いてシンプルナチュラルな雰囲気です。白い壁と明るい色合いのフローリングや天井に、黒いスチール階段、サッシが加わることで空間にメリハリが生まれ引き締まった印象に。
引戸で自由に開閉具合を調節できる小上がりの畳スペースには縁無し畳が用いられ、シンプルでモダンな印象です。欄間部分にガラスを用いることで採光確保できると同時に、空間につながりがうまれています。
【平屋については、こちらの記事でも紹介しています】
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