家族で住んでいても、いずれ子供たちは独立していきます。そのため老後のための住まいは、一般的な家とは少し異なるものになるかもしれません。子供たちは家に住むことはありませんが、時々訪れることになるでしょう。そのため家には子供たちが暮らすのではなく、滞在するための空間が必要となります。今回紹介したいのは、こうした家族の集まりなどに対応する家です。
今回紹介する家を手がけたのはシミズアトリエ一級建築士事務所。家は住宅の中に建てられました。家の設計を依頼したのは60代のご夫婦。設計依頼の内容は30坪ほどの敷地に建つ家の建て替えでした。そこで求められたのは、独立した子供たちが家族を連れて訪れた際に泊まることができること。そして家を出来る限り明るい空間にしてほしいということでした。
住宅地に建てられた2階建ての本住宅は人目を引くでしょう。その外観で印象的なのは、屋根も外壁も同じ色でまとめられており、それらは分けられることなく一体化しています。そのため、三角の屋根が載った箱のようにも見えます。このような特別な外壁の上には幾つか窓がありますが、それ以外には目立ったものはなく、とてもシンプルなものに見えます。そのため、建物のフォルムが一層際立って見えるでしょう。
こうした家で考えられているのは、子供たちの訪問を考えた空間。それがあるのは2階です。そこには吹き抜けがありますが、部屋は一体化しているため、壁の存在を意識することなく、広がりを感じることができます。テラスも家と一体化するように大きな窓が設けられているため、家の中にいるのではなく、屋外にいるように感じられるかもしれません。
このような心地の良い空間が広がる住まいですが、2階は子供たちの滞在のため場所となります。そうなると普段は使われない場所となりがちですが、ここでは吹き抜けなどの空間の繋がりを生み出すことで、離れた使いにくい空間になることを防いでいます。そのため子供たちが訪れた際には家族の繋がりを感じ、また日常的に使う際には、家の一部であることが強く感じられるようになっているのです。そのため、どんな時でも家全体を上手く活用することができるのです。