二世帯住宅について考える

Orie Kojima Orie Kojima
まちかどのある家, SPEAC SPEAC Maisons modernes
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少子高齢化の今日において、世帯をまたいで共に生活することは他人事ではありません。2世帯住宅はどのような間取り構成が考えられるのでしょうか。居住空間の距離のとり方やどこを共有空間とするか、様々なアイディアや考え方をご紹介していきたいと思います。

まちかどの二世帯

まちかどのある家, SPEAC SPEAC Maisons modernes

家族が時にはそれぞれの生活を作ることも出来、 時には廊下を伝って親密に空間を共有することも出来るご近所のような家作りがされています。 「都市において他者からのまなざしは緊密すぎる関係性に開放感を与える」という発想から、中庭を設け、 その周りを窓ガラスで囲うことでその「他者のまなざし」を作り出し、空間の逃げ道を作り出しているように感じます。 しかしこの住宅はもし家族全員で集まり、一緒においしいご飯を食べたり、友人を呼んでパーティーを開いたりするには とてもにぎやかな空間となるでしょう。空間の逃げ道は空間の通り道にもなるのです。 

〈設計〉SPEAC,inc. 宮部浩幸〈構造設計〉長坂設計工舍〈施工〉小川建設〈写真〉太田拓実(TAKUMI OTA)

和の中に洋がひっそりと調和する家

こちらはダイニングリビングと和室リビングが仕切り無く合わさった明るい空間に、吹き抜けのある開放的な上部空間が出来上がっています。家族二世帯の築39年の家のリノベーションの際に、畳二間であった場所を半分をダイニングキッチンにすることで 家族全員が集える隔たりの少ない空間を実現させています。 ダイニングとつながった和室の居間を家の中心とし、その吹き抜けを施すことで息苦しさを感じさせない心地の良い空間を作り出しています。 又、こちらの暖房としは土間に薪ストーブがあり、そこで家族が集まって本読んだり、料理の際に使用したりと コミュニケーションがよくとれる空間構成としているようです。

設計・監理永森建築事務所 施工・(株)ハウスインフォ  写真・中村写真工房

お互いの暮らしを支えあうような間取り

こちらの二世帯住宅の間取りは、この外観からも感じられるようにプライバシーを守り、お互いに配慮しつつも支えあうような、そんな構成になっています。 リビングでのくつろぐ時間を邪魔しないように玄関口以外に勝手口が二つ設けられ、動線の配慮をされていたり、 玄関からの土間には施主がバイクをいじりながら孫が外で遊ぶ姿を見守れるように、と広いスペースが設けられています。 一階は施主夫婦のLDKと親夫婦のLDKと寝室、共用の水回りを配慮し、二階には息子夫婦の寝室と子供部屋を置かれており、 かなり区切られているような印象を覚えますが、キッチンは広く大きなテーブルが置かれていて、 家族が共に楽しく食事が取れるような形を残しており、中庭を通して家族の居場所を感じられる家の作りになっていることも感じられます。

二世帯住宅のバリアフリー

二世帯住宅を建てることは、未来の生活を想定することにもなります。こちらの住宅は親世帯の将来も考え、車椅子生活にも対応できるようにバリアフリーの間取りに仕上げています。 全ての建具を障子の引き戸として、開けたときに幅が広く、暮らしやすさややさしさを考えられた家です。 和風の仕上がりですが開放的な空間であり、障子を開けると空間がつながり広々と感じることが出来ます。 プライバシーと共にお互いを気遣う雰囲気が生まれており、柔らかな空間となっています。

お互いの暮らしを守る仕組み

ミニマルな雰囲気を感じさせるこちらのお部屋は子世帯のためのリビングダイニングです。こちらの住宅は極端な縮狭敷地ではなかったものの様々な条件があり、建築家と共にいくつかの改善策を考えながら作られています。 地上から2つめの階が親世帯で3つめの階が子世帯となっています。 その間をつなぐ階段には、子供落下防止用の扉が設置され、階下に光を落としつつもプライバシーを守り、 保温効果も上げるための階段を閉める蓋を閉めることも出来ます。こちらの記事でも紹介されています。狭小地に実現させた快適な二世帯住宅 K&K-HOUSE 宮本 和義

おもいやりのために「ずらすこと」

一緒に暮らすことになったとき、お互いの仕事や生活のリズムが違うことを思いやり、程よい距離感を作ることも時として大切ですね。向かって左が子世帯、右が親世帯、中央が共有空間で構成した分棟型の間取りとして設計されています。 平面構成で各世帯間に距離感を生み出すことに加え、高さ方向にも距離を作りだしており、各世帯のLDK階と寝室階を、 生活時間の違いを配慮し部屋の位置各階で同じにせず、ずらして作られています。 生活する階層が違っても、子供たちは家にいつも人のぬくもりを感じて生活でき、 気軽に自由に行き来できるところが共に暮らす温かさを作り出しています。 

Photo:KAI NAKAMURA

将来を考えてつくる

小さな家が寄せ集まるようにして出来ているこの住宅はなんと2世帯だけではなく3世帯で住んでいるとのことです。3世帯それぞれの雰囲気にそれぞれ違いなども生まれており、形・大きさ・外壁の素材・屋根の素材でさえも異なります。 洗面・浴室やキッチンもそれぞれにあります。 共用部分がテラスなど一部のみという理由は、この住宅の構造が世帯それぞれに自立しているという構造によって 将来、賃貸住宅やシェアハウス、アトリエやパブリックスペースとして活用するためです。 多世帯のための住宅を考えると同時に少し未来のことを創造し、間取りを考えることも一つのアイディアでしょう。 

Photo:Kenichi Higuchi

接していなくても思いやる構造

ひとやまはん。, 星設計室 星設計室 Balcon, Veranda & Terrasse minimalistes

星設計室が手がけるこちらのひとやまはん。は中庭を挟んで大小二つの家を配置しています。親世帯の家部分が小にあたるのですが、こじんまりとしていても天井の明かりとりから採光も十分あり、 安心感を感じられる和室の居間となっています。 このバルコニーは子世帯の家から親世帯の家の屋根裏部屋につながるルーフバルコニーとなっており、 「離れ」のような感覚で行き来できるいわば「家族をつなぐ橋」です。この2つの家に接しているのはこの橋だけですが、子世帯のリビングから親世帯のキッチンの音が聞こえたり、と お互いの生活の気配を感じつつ、逆にお互い助け合うこともできるというメリットもあります。

狭くても十分な暮らしを

こちらの住宅は1階部分に親世帯、2階部分に子世帯の住居、3階に子供部屋という構造になっています。狭い敷地ですが納戸もあり、空中テラスとして2階に設けられた庭もあり、採光もよく入ります。 内部の工夫としては、親世帯の部屋の壁に仏壇やクローゼット、押入れなどがすっきり収まっており、 建具を天井いっぱいに高くしていることで狭苦しさなどを感じられません。 2階のリビングが、家族があつまることができる家の中心となっています。

愛犬がつなぐ暮らし

こちらの住宅は旗竿形状の敷地の、愛犬5匹と共に暮らす2世帯コートハウスです。コートハウスとは国内で使われる言葉で、塀や建物で囲まれた中庭を持つ住宅を指し、採光や通風、防犯上もメリットがあり、 集合住宅などでは好んで用いられる設計形態です。 部分共有型の二世帯住宅であり玄関は共有していますが居住空間は離れています。 しかし、この5匹の犬たちが遊べる中庭(ドッグヤード)が世帯間の距離を緩やかにつなぎ、 あたたかな暮らしを作り出していけることでしょう。

【二世帯住宅については、こちらの記事でも紹介しています】

二世帯住宅も住まいのかたちは様々。完全同居・部分共用・完全分離型のメリット・デメリットまとめ     

完全分離型の二世帯住宅を成功させるためのポイントまとめ    

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