住み手の生き方を映す「もてなしの家」

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もてなしの家・和のエスプリを継ぐ家, やまぐち建築設計室 やまぐち建築設計室 Maisons modernes
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数年前に流行語大賞に選ばれた「おもてなし」という言葉。もちろん以前からある言葉ですが、五輪招致という国家規模のプロジェクトでのスピーチで使用されたこともあり、一気に世間に浸透しましたね。本日紹介するのはそんなおもてなしの心を表現した住宅。住宅は単に住むためだけの場所ではなく、友人や親戚、仕事の同僚や近隣住民などといった、さまざまな関係性を持つゲストをもてなす場でもあります。担当したやまぐち建築設計室は「もてなしとは人に対する想いの深さ」と言います。いったいどんな住宅が出来上がったのでしょうか、さっそく見ていきましょう。

外観

敷地があるのは奈良県磯城郡。伝統的でいて少しのモダンさも感じさせる佇まいは、格式高い旅館のような雰囲気を醸し出しています。塀は無く、外に開かれた庭は玉砂利が敷き詰められた小径があり散策したくなる気持ちよさ。植生を愛でながらゆったりとした石段を上ると玄関です。

リビングルーム

こちらは畳ではなくフローリング、座椅子ではなくソファを配置した和風をモダンにミックスしたリビングルームです。照明も天井に埋め込んだダウンライトやコーブ照明(光源を隠し天井面を照らす間接照明)を使用していますが、それでも洋風になりきってしまわないのは、障子を思わせる格子のスライディングドアや、ソファのテキスタイルに使用された伝統的文様のおかげ。柔らかく落ち着きのある光でリラックスできそうな空間です。

小さなテーブルコーナー

飾り棚の前の小さなテーブルコーナーはちょっとした来客時に便利。シンプルに焼き物や盆栽を飾ったり、生け花や時には大振りのフラワーアレンジメントでも。季節や気分に合わせて、おもてなしする相手に合わせて、とさまざまにアレンジ可能な装飾に気合いの入るスペースです。

キッチン&ダイニングルーム

こちらはアイランドキッチンを中心としたキッチン&ダイニングルームです。ツヤ感のある黒、太いラインの家具でまとめることでセクシーな印象となっていますね。六人掛けのダイニングテーブルですがよく見ると椅子は四脚。実はアイランドキッチン側の席には椅子ではなく背もたれの無いベンチが設置してあります。そうすることで視線が抜け、全体がすっきりとした印象になります。(それにベンチに並んで食べるのって楽しいですよね!)

風景を切り取る窓

庭の植生を眺めることが出来る開口部はカーブを描いた独特の形状。切り取られた庭の風景はまるで絵画のよう。

​和室

和室への入り口は幻想的な雰囲気を醸し出す和紙を使用した組子の無い障子。重なることでさらに深い表情を作り出します。ぼんやりとした曖昧さ、光と影の重なりは日本家屋が持つ独特の美しさです。そしてこのようにモダンな手法を使うことで、空間がさらに個性的で魅力的に変わります。

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