曖昧な境界が心地良さを生むAgui House

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曖昧な境界が心地良さを生むAgui House

Emi M Emi M
par ALTS DESIGN OFFICE
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滋賀と京都にオフィスを構えるALTS DESIGN OFFICEによるこちらの住宅は、内部と外部の間に水平に広がる中間領域を設け、多様で豊かな空間を試みたプロジェクトである。敷地は南東角地という好立地な条件から、建築家は外部に解放された居間を南東側に設け、その間に内と外を繋ぐ「縁側空間」を設けたという。

縁側は日本家屋独特の構造

そもそも縁側とは日本家屋独特の構造で、外側軒下に造られる壁や雨戸の無い「濡れ縁」と、母屋の外側に下屋を造り雨戸を立てた、外部と内部の中間に位置するような部屋とした「くれ縁」の二種類がある。

屋根があるのなら室内かと問われれば、何か用途のある「部屋」として家具を置き使用している訳ではないので室内とは言いづらく、ならば屋外かと問われれば、裸足のまま室内から行き来して時にはお茶菓子と共に客人をもてなしたりもするので屋外という訳でもない… 。こうした内でもなければ外でもないという曖昧さは、空間を仕切る意識が希薄(大雑把に言うと薄い紙一枚で空間を仕切っていたのである)な日本家屋独特のもので、それは古くから日本人が長らく育んできた文化なのだ。

外的要素からの緩衝地帯

そうした日本家屋特有の曖昧さの構造を現代にアレンジしたのがこちらの住宅だ。縁側空間と居間は床と天井で水平に繋がり、壁と柱をランダムに配置させることにより境界を曖昧にしている。そしてこの中間領域は内部空間の「開放性」と「包まれ感」をうまく共存させている。もしもこの中間領域が無かったらどうだろうか。公共のスペースに向けてあまりに開放されたリビングではあなたはどこか緊張してリラックスできないかもしれない、また閉じられた空間では息苦しさを感じることだろう。開かれていながら、内にいる。それを絶妙なバランスで実現したのがこの住宅だ。また、この中間領域は外的要素からの緩衝地としての役割も果たしている。日本の四季の変化や天候などから一年を通して内部環境を守ってくれているのだ。

曖昧にすることでより繋がる

木材を多く使用したナチュラルな印象の内部空間では、将来の変化にも対応出来るように子供室以外を一階に配置させ、家族で音楽を楽しむことの出来る多目的室(防音室)を居間横に設けることで、家族の繋がりと多様性をつくり出したそうだ。ここにも曖昧だからこそできる様々な可能性を感じることが出来る。個々のスタイルを生かすことも、それらを大きく包み込むこともここでは可能なのだ。

現代の縁側

古典的デザインの日本家屋よりも、広くオープンに取られた縁側空間は社寺建築に見られるような魅力ある中間領域をつくり出した。夜は厳かな雰囲気さえ漂うがそれは決して閉じられたものではない。家族や友人たちがこの内でも外でもないスペースに集い、そしてゆるやかに結びつきながら多様性を育んでいくことだろう。曖昧な中間領域を持つことの価値、それをこの住宅は私たちに教えてくれている。

【縁側については、こちらの記事でも紹介しています】

※ 縁側とは?その魅力とタイプ別デザイン集

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