新しい住まいは新築がよしとされてきたのは、徐々に昔の話になりつつあるのかもしれません。増えつつある空き家が問題になるにつれて、空き家や中古住宅をリノベーションした住まいが新たな住まいの取得方法として選択されることも増えてきました。今回ご紹介するのは、株式会社しあわせな家が手がけた中古住宅のリノベーション。すでに新築物件の内覧もしていた住まい手がピンときたのは、自分らしく造り変えられる中古物件の魅力でした。新しいこと、綺麗なこと、だけではなく自分たちらしい暮らしを実現できるのがリノベーションの魅力です。
住まい手の希望は、当初は家庭菜園ができる庭がある家でした。しかし家づくりを考えた際に、自分たちが心地よく暮らしていける環境がある家を選びます。もの、ではなく暮らしを基盤にした「こと」を中心に考え、住まい手にとって最適な家と出会えました。内部は時代を感じるものの整った印象の家です。ここから自分たちらしい色を加えていくことになりました。
家庭菜園を望んでいた住まい手は、家のテーマに「四季を感じられること」を選びました。移りゆく季節の変化を五感で感じられるような家をコンセプトに、建築家が数々の提案をしながら住まい手と二人三脚での家づくりが始まります。家のコーナーに生まれた小上がりの畳スペースは、そばの窓から自然の音や木々の変化が感じ取れます。寝転んでくつろいでも、自然の音に耳を澄ませながら本を読むこともできるリラックススペースです。
リビングの一角にあるひときわ印象的なブルーの壁は、住まい手が自ら塗装を施しました。自然をイメージした暖色も検討されていましたが、新婚旅行の際に訪れたというアイスランドの温泉の色のブルーをチョイス。思い出のカラーはいつもリビングにあり、新婚当初の新鮮な気持ちを思い出すことができそうです。爽やかな水色と無垢材のナチュラルなカラーはまるで北欧インテリアのような明るさがあります。いつも肌に触れる床は無垢材をセレクトし、そのまま寝転んでも心地良い素材が魅力です。
以前はキッチンは壁付けになり、設けられていた収納によって空間が分かれているような印象でした。もともとは家庭菜園を望んでいた住まい手にとってキッチンも大切なポイントです。
四季折々の素材を楽しみながら、豊かな食卓を作るキッチンは暮らしのキーとなる大切な要素です。共働きで普段は忙しい日々を送る住まい手夫婦の負担が軽くなるよう、大容量のスウェーデン製食器洗い乾燥機を完備しました。配置は以前の壁付けではなく、リビングや窓の外を見渡せる位置へ移動。手元がしっかりと隠れる壁も作られています。リビング側の収納には以前のキッチンに使われていた扉が再利用され、家の雰囲気を壊さずに仕上がり、コストダウンもできています。
住まい手がイメージしていた、四季の景色は、京都で見られるような和の趣を感じる季節の色でした。そうした景色や雰囲気を想起させる仕掛けをトイレにあしらったのがこの空間です。取り外しができる障子にはロクタ紙が貼られ、ぱっと目を引く赤はシンプルな内装のポイントになっています。取り外しができるために、季節や気分によって張替えもでき、気軽にイメージチェンジができます。和風が好みながらも、家の中の統一感を壊さないようにと配慮もされたこの小さな床の間は、小さいながらも空間を豊かに演出します。
【リノベーションについては、こちらの記事でも紹介しています】
※ 新築vsリノベーション。比較することで見えてくるそれぞれの良さ
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