今回ご紹介するのは、大きさ、高さが異なり、また軸線にも変化の与えられた三つのボリュームが組み合わされたような特徴的な外観を持つこちらの住まい。若い夫婦+子供二人の四人家族のために建てられたこちらの平屋では、南側に設けられた大開口から太陽の光が取り込まれ、明るく開放的、そして心地の良い空間が広がっています。では早速見て行くことにしましょう。
敷地が位置するのは愛媛県今治市、小高い丘の上にある住宅地の一角です。周辺には二階建ての住宅が建ち並び、画一的な街並みが形成されています。変形した大中小三つの筒が寄り添っているようなこの特徴的な外観は、建築家が周辺環境への配慮から導き出した形状だそう。平屋は、二階建てと比べてどうしても平面が大きくなってしまいますが、その中でも街並みに圧迫感を与えない佇まいとなるよう一つの大きなボリュームを避け、このような建物の構成が採用されました。シンプルモダンながら一目で記憶に残る個性的な外観です。
三つのボリュームは、すべて南に向けて開かれており、採光、通風を十分に確保することができます。さらに、開口部分には門型に迫り出した屋根と壁があるため、太陽高度が高い夏場には強い日射しを遮り、太陽高度が低い冬場には暖かな光を室内の奥まで取り込むことができます。
日没後には、大きな開口から室内の光が溢れだし、街を優しく照らします。外壁は、木、金属、塗壁と様々な素材と色の組み合わせで構成されていますが、全体的にはバランスの良い落ち着いた雰囲気でまとめられています。
こちらは玄関の様子です。白と木質でまとめられたシンプルナチュラルな空間に、コンクリートの壁がアクセントを添えています。いくつかの素材を組み合わせることで空間の表情がより豊かになりますね。
こちらはリビングの様子。天井は、開口部に向かって高くなっていくため、より奥行きと広がりの感じられる開放的な空間となっています。またここでもコンクリートの仕切り壁が配され、空間が物理的にも、心理的にも、ゆるやかに分割されています。
それぞれのボリュームの軸線を振れさせたり、空間ごとに天井高や、開口の大きさ、位置などに変化を持たせることによって、多様な視線の抜けや眺望の変化が生まれています。シンプルな構成でありながら、多様なシーンが繰り広げられる空間が日々の暮らしをより豊かに楽しく演出してくれるでしょう。
【平屋については、こちらの記事でも紹介しています】
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